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鈴木厚志さん 岩井万祐子さん・・・光技術を活用した農商工連携で浜松を元気に!
武藤正一さん・・・100年以上受け継がれている注染染めで、今後もいいものにこだわりたい。
川人祥二さん・・・浜松に新たな産業集積を!オプトロニクスクラスター創成に情熱を燃やす研究者
  

 

光技術を活用した農商工連携で浜松を元気に!
―浜松発農商工連携モデル―

鈴木厚志さん 岩井万祐子さん

鈴木厚志(すずき あつし)さん 45歳
 京丸園(株)代表取締役
岩井万祐子(いわい まゆこ)さん 30歳
 (株)ホト・アグリ代表取締役

鈴木さんは、「笑顔創造」をモットーに、あいがも農法のお米や水耕みつば・ねぎ、チンゲンサイ、土耕トマトなどを生産する農業生産法人の代表者。
岩井さんは、光産業創成大学院大学の卒業生で農業用光源の製造販売及び機能性作物の生産を行うベンチャー企業の代表者。

農林水産省と経済産業省は、農林漁業と商工業等の産業間連携を強化して、地域経済を活性化するという取り組みを進めています。
こうした取り組みを『農商工連携』と言います。
鈴木さんと岩井さんは、この農商工連携に「機能性野菜『リッチリーフ(R)』栽培用光源の開発とリッチリーフ(R)の商品化」をテーマに取り組んでいます。
今回は、我が国有数のものづくり(工業)都市であるとともに、農業産出額全国第4位(H18)の農業が盛んな都市でもある浜松市の中で先進的に農商工連携に取り組むお二人にお話を伺いました。

■お二人がビジネスパートナーになったきっかけは?

鈴木さん)

4年前ぐらいからお互い名前だけは知っていましたが、本格的にパートナーとして農商工連携を始めようとしたのは、昨年7月頃からです。

岩井さん)

私は、光産業創成大学院大学在籍中から、光技術を農業に活かすシステムの研究開発に取り組んでいます。そして、平成17年には、そのための会社として?ホト・アグリを設立しました。
私が開発しようとしているシステムについては、農家さんと一緒になって開発を進める必要があります。色々な農家さんについて情報収集をさせていただいた中で、鈴木さんとパートナーになることがベストだと思い、今回の農商工連携については、私から鈴木さんに声をかけさせていただきました。

鈴木さん)

私は、農業にはまだまだ多くの可能性が秘められていると思っています。付加価値の高い農業をつくるには、新しい考え方や技術を農業に持ち込まなくてはいけません。そこに岩井さんからお話があり、これはチャンスだと思い即断しました。要するにお互いの達成したい目的が合致したからビジネスパートナーになれたんですね。

京丸園?水耕栽培ハウス
京丸園(株)水耕栽培ハウス

農商工連携においては、工業が上、農業が下という上下関係ではなくお互いの魅力を活かし合う関係でありたいと思っています。お互いが持っている技術を融合することで世の中になかったものを創造する連携事業でありたいと思っています。岩井さんは、農家の目線で色々なことを考えてくれていますし光の専門家として大変魅力的な技術を持っています。この連携によってお互いの夢が叶うのではと今から期待しています。

■今回の農商工連携プロジェクトの内容は?

鈴木さん)

昨年9月から、「機能性野菜『リッチリーフ(R)』栽培用光源の開発とリッチリーフ(R)の商品化」をテーマにプロジェクトを進めています。
このプロジェクトは国(農林水産省、経済産業省)の認定を受け、開発費用も国から支援いただいています。

リッチリーフ
リッチリーフ

岩井さん)

リッチリーフ(R)とは、リッチな気分で食べることができる機能性成分を多く含んだ葉菜類を言います。赤ジソ、チコリー、ミズナなど約30種類の総称をリッチリーフ(R)と言い、?ホト・アグリが商標登録しています。

鈴木さん)

私は、今回のプロジェクトを通じて、ポリフェノールやカロテン等が強化された機能性野菜を量産化したいと思っています。そして、こうした野菜を高級スーパーや百貨店、ホテル等へ販売していきたいと思っています。

岩井さん)

私は、機能性野菜の量産に適した光源(LED)や照射光質・時間の制御、栽培用ソフトウエアからなる栽培用光源内臓育苗装置を開発したいと思っています。

■どのようにプロジェクトを進めていますか?

岩井さん)

私はとにかく農家さんの目線を大事に進めています。
また、こうしたプロジェクトを進める上では進捗管理が大切です。そのために、月2回のミーティングは欠かしていません。ミーティングでは、進捗管理や今後の進め方を熱く議論しています。

鈴木さん)

私は、岩井さんが開発したシステムの実証実験を担当しています。
私は今回のプロジェクトを通じ、農家が工業サイドのシステム開発にガッチリ関わるということに大きな意義を感じています。このスタイルが本来の農商工連携だと思っています。

■プロジェクトの進捗状況は?

岩井さん)

現在は、8月に完成した第2次試作機で実証実験を行っています。順調にデータ取りが出来ています。

栽培用光源内臓育苗装置の第2次試作機
栽培用光源内臓育苗装置の第2次試作機

鈴木さん)

今回のプロジェクトは、本当に順調に進んでいますよ。唯一の課題としては、岩井さんが来年お子さんを出産することですかね。(笑)早く完成させなければ!

■プロジェクトの今後の展開は?

岩井さん)

今回のプロジェクトは3年間国の支援を受けています。その最終年となる来年7月頃には、プロジェクトの成果として開発した製品を発表したいと思っています。
私たちが進めているシステムについては、海外からも高い評価を受けています。いい製品をつくり、日本だけではなく世界の農業にも貢献したいですね。

鈴木さん)

国への資料でも書きましたが、今回のプロジェクトを通じ開発したシステムについては、夢は大きくまずはお互いで1億円以上の売り上げを目指したいと思っています。

■最後に、将来の目標や夢は?

鈴木さん)

浜松市には、農業の付加価値を高めたり、農業そのものの高度化を図れる技術(光技術を含めたものづくり技術)がたくさんあります。また、農業そのものにも高い技術があります。さらには、豊かな自然もあります。私は、こうしたことを背景に、浜松独自の植物工場をつくりたいと思っています。植物工場は単なる野菜等の生産施設ではなく、浜松の教育、福祉、環境、雇用などに貢献する多面的機能を持ったユニバーサル農園にしたいと思っています。浜松であれば必ず出来ると思います。可能性は十分です。

岩井さん)

私は、今回のプロジェクトもそうですが、農業に本当に使える光技術を開発し、世界に発信し続けたいと思っています。そして、浜松の農業、日本の農業、世界の農業に貢献したいですね。


 

平成22年4月2日、農林水産省と経済産業省が発表した「農商工連携ベストプラクティス30」に選ばれました。
経済産業省 http://www.meti.go.jp/press/20100402001/20100402001.html


《関連リンク》
京丸園(株) 
http://www.kyomaru.net/
(株)ホト・アグリ 
http://www.photo-agri.com/
農商工連携(中小企業庁) 
http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/noushoko/index.html
農商工連携(中小企業基盤整備機構) http://www.smrj.go.jp/noshoko/
農商工連携(農林水産省) 
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/nosyoko/index.html
農商工連携パーク(J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト)
 
http://j-net21.smrj.go.jp/expand/noshoko/index.html
光産業創成大学院大学 
http://www.gpi.ac.jp/

 

100年以上受け継がれている注染染めで、今後もいいものにこだわりたい。

武藤正一

武藤正一(むとう まさいち)さん 71歳
武藤染工(株)代表取締役
浜松織物染色加工協同組合理事長

 武藤氏は、日本独自のゆかたや手拭いの多彩な染色技法である「注染染め」を今もなお続けている市内でも数少ない染色工場の社長です。
また、浜松織物染色加工協同組合の理事長として、浜松地域の織物染色加工の振興に尽力しています。

日本独自の『ゆかた』や『手拭い』の多彩な染色技法である『注染染め』を今もなお続けている市内でも数少ない染色工場の社長であり、浜松織物染色加工協同組合の理事長も務める武藤さん。
代々浜松に伝わる『ゆかた』や『手拭い』の染色技法『注染染め』に対する思いを熱く語っていただきました。

注染染めとは!

日本独自の染色技法で海外には、この技法はありません。

絵柄や紋様などを残した型紙を生地の上に置き、防染糊を塗布し、その作業を繰り返しながらたたみ返します。

注染染め
注染染め

捺染
捺染

その後、注ぎ口の細長いやかんに入れた染料を注ぎ込むため、裏表が全く同じに染色できます。
また、すべて昔からの手作業で、職人(染める人)の感性で思うように自由に染めることができ、『ぼかし』を活かした雅豊な深みのある多彩な染色が出来るのが特徴です。 

浜松の『注染染め』―『ゆかた』から『手拭い』へ―

浜松の『注染染め』は、明治20年頃から『手拭い』の染色方法として始まりました。大正時代には『ゆかた染め』が主流に、そして戦後は、『ゆかた』や『手拭い』のほか、のれん、法被などにも広がってきました。現在は、趣味の手拭いが量としては一番多くなっています。
私の会社では、生産量の約6割が『手拭い』です。名前は言えませんが、著名な方からの特別な『手拭い』や『ゆかた』の発注もあり、昔から力士の『ゆかた』もたくさん染めています。

『注染染め』について、東京(関東)は単色染めが中心、大阪(関西)は多色染めが中心ですが、浜松では、単色から多色まで行っています。要するに両地域のいい所を寄せ集めたのが、浜松の『注染染め』です。平成13年には、静岡県知事が認定する郷土工芸品に指定されました。

昭和30年代頃、浜松には、注染染めにかかわる工場(さらし、染め、仕上げ)が大小合わせて100社程ありました。しかし、現在は、私の会社以外に、3社だけが注染染めを行っています。 

注染染め工場
武藤染工
注染染め工場
注染染め手拭い
注染染め手拭い

 

注染染めに対する思い―国の伝統的工芸品認定を目指す―

私は昭和36年に今の会社を設立し、昭和44年に法人化しました。
仕事を始めた頃は『注染染め』だけでしたが、法人化してからは、機械による染めも始めました。その後、水着・服地など色々なことにもチャレンジしています。

しかし、私の会社の基本は『注染染め』だと思っています。注染のことなら100%までとはいきませんが、ほとんどのことは分かっているつもりです。

浜松の注染染めは明治20年頃から始まり既に100年を超えています。私は、代々受け継がれている伝統技法としての注染染めは今後も維持、伝承していかなければならないと思っています。現在、そのために、浜松織物染色加工協同組合では、国指定の伝統的工芸品の認定を受けたいと思い、準備を進めています。

注染染めでいいものにこだわりたい

これからの時代、『ゆかた』や『手拭い』などは、海外で作られた機械染めか、国内で作られた『注染染め』かのどちらかになっていきます。
我々は今後も、代々伝わる浜松の伝統技法を基に、いい物にこだわりたいと思っています。多くの皆さんに喜ばれる『ゆかた』や『手拭い』を浜松から全国に提供していきたいと思っています。

注染染めの工程(手拭い)

 型紙  型紙

         ↓

   板場    板場

         ↓

 紺屋  紺屋

         ↓

 完成  完成

 

 

浜松に新たな産業集積を!オプトロニクスクラスター創成に情熱を燃やす研究者

川人祥二

川人祥二(かわひと しょうじ)さん 47歳
静岡大学電子工学研究所教授
株式会社ブルックマンラボ取締役兼最高技術責任者(CTO)

川人教授は、浜松地域における知的クラスター創成事業※の代表研究者。また、当該事業の研究成果をベースに設立した大学発ベンチャー企業「(株)ブルックマンラボ」の取締役兼最高技術責任者でもある。

※知的クラスター創成事業:
浜松地域に光電子工学技術に関する新たな産業や知識の集積(=オプトロニクスクラスター)を図るための事業で、産学共同研究や研究成果の事業化、人材育成等を推進。文部科学省委託事業

浜松市では、浜松地域にオプトロニクスクラスターを創成するため、文部科学省、静岡県、企業、そして地元大学と一体となって知的クラスター創成事業に取り組んでいます。
このプロジェクトを大学教授と企業技術者の両面でリードする川人教授に、このプロジェクトに懸ける熱い思いや夢を語っていただきました。

■浜松は恵まれた場所

浜松地域の知的クラスター創成事業に参加して7年になります。このプロジェクトに参加し感じていることは、浜松は恵まれた環境にあるということです。
高い技術を持つ企業が集まっているし、私が所属している静岡大学や浜松医科大学には優れた研究者がたくさんいます。

最近では隣県の豊橋技術科学大学とも連携していますが、この大学にも優れた研究者がたくさんいます。研究を支える生活環境もいいと思っています。温暖な気候や恵まれた交通アクセス、美味しい食べ物など、なに不自由なく研究に取り組むことができています。
こうした恵まれた環境にある浜松地域は、日本はもとより世界にも注目されるオプトロニクスクラスターを必ず創成することができると思っています。

■大学研究者と企業技術者の2つの立場

現在私は、静岡大学電子工学研究所の教授である傍ら、大学発ベンチャー企業の取締役兼最高技術責任者でもあります。
この2つの立場で、オプトロニクスクラスターの創成に貢献しようと精一杯頑張っています。

大学の研究者の立場では、次世代の画像センサの研究開発に取り組んでいます。
画像センサとは人間の目の網膜にあたる部分で、皆さんお持ちのデジタルカメラをはじめとする各種カメラには不可欠な部品です。画像センサがなければ画を撮ることはできません。

私はこれからの時代に必要とされる画像センサとして、極端な明暗差でも画が撮れる車載用カメラや隠れた病変部を発見する医療用カメラ、真っ暗なところでも撮ることができる超高感度カメラのための画像センサの研究開発を行っています。既に、特許も国内外含めて30件程度取得しています。

こうした技術を実用化するために立ち上げた会社が?ブルックマンラボです。この会社は、3年前のバレンタインデーに設立し、今年で3期を終えました。経営陣や社員が一丸となって頑張っており、売上げは毎年順調に伸びているし、エンジニアの数も増えています。今後もオンリーワンの最先端技術をこの会社を通じて世の中にたくさん出していきたいと思っています。新しい技術を開発し、会社を成長させることが、オプトロニクスクラスターの創成に一役買えると思っています。


研究成果
広ダイナミックレンジカメラ(160dB)
株式会社ブルックマンラボ スタッフ
株式会社ブルックマンラボ スタッフ
 

■日本だけではなく世界にも認められる技術を開発

世界と渡りあえるクラスター創成のためには、世界に認められる技術を開発していかなくてはなりません。
常にそのような意識で研究開発に取り組んでいます。

その結果として、知的クラスター事業が始まってからの7年間に、ISSCCという集積回路の分野で世界で最も権威のある国際学会で、研究成果を6回発表することができました。
このことは、研究成果が世界トップクラスであることの証明です。

また、これらの成果によって研究者個人としては、電気・電子の分野における世界的な学会であるIEEEのフェローに昇格することができました。

今年、集積回路分野でIEEEフェローに昇格したアジア人は私1人だけでした。このことは大変名誉なことです。

これも一重に、私の研究をサポートしてくれた関係者の皆様のおかげです。今後も世界を意識した研究開発に取り組み、浜松発の新しい技術を開発していきます。

IEEEフェロープレート
IEEEフェロープレート
 

 

 

 

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